パクリ騒動は、クリエイティブ云々でなくビジネスの管理責任

ビジネスイメージ

2020東京オリンピックのエンブレム問題から飛び火するようなかたちで、佐野研二郎氏のデザインパクリ問題が炎上しています。この件について、創作活動とビジネスという観点から検証してみます。
本稿はエンブレムのデザインの出来栄えや佐野氏の言動そのものをテーマとするものではありません。

芸術は自然の模倣

当初は、デザイナーはじめクリエイティブに関わる多くの人たちは彼を擁護していました。それも当然のことで、デザインなどは多く模倣・参照であり、何かにインスピレーションを受けて制作するという行為は類似したアウトプットを産み出す因果のなかにあります。そもそも、芸術は自然の模倣であるとさえ言えるのです。

「アジェのような町並みの写真」「ゴッホのようなひまわり」「ボブ・ディランのようなうた」…インスピレーションを受けて制作されたものが必ずしもコピーと断定できないのは、そこに何かしらの制作が加えられているからです。あるいは、偶然の一致ということも多分にあると思います。

2020五輪エンブレムがパクりと言うなら、カメラもスマートフォン、TVや冷蔵庫もみな同じデザイン、パクりであると言えるでしょう。

しかし、佐野健二郎氏のその他の作品で指摘されている類似性は偶然や参照ではなく、コピーと思われるものも多いことが発覚し、当初擁護していた識者たちも批判を向けるようになります。そして、佐野氏もその後、アシスタントがコピーした事実を認めました。

推測すれば、氏の仕事の一部はアシスタントが丸投げのような形で代行し、こなしきれない分を盗用により間に合わせていたのだと思います。それはデザイン会社を運営していく以上当然の手法であり、ここで問題を切り分けて考えれば、デザインを佐野氏自身が手がけたのかそれともスタッフが担当したのかということについては責めを負うべき事柄ではないと私は考えます。

クリエイティブ云々でなくビジネスの管理責任

憶測の続きになりますが、デザインを発注する側も佐野氏のデザイン事務所に発注しているという認識はあったでしょうし、「MR_Design制作」(佐野氏のデザイン事務所)という一般的には馴染みの薄い表記を付すより「ニャンまげ」のデザイナー「佐野研二郎デザイン」と表記する、あるいは表記したいでしょう。

それがインチキだというなら、例えば[誰々の料理店]といっても毎日著名な料理人が厨房を仕切っているわけではないのもやはりインチキということになってしまいます。

つまり、この問題はクリエイティブ云々よりビジネスとしての、シンプルな管理責任であり、パクリだ何だと面白おかしくとらえては問題の本質をそれてしまうと思うのです。

ビジネスの仕組みとして再考する

部下がしたことであれ、デザインの盗用は犯罪です。佐野氏の監督責任は免れないと思いますが、そもそもそういったチェックをする手間を考えれば、自身で取り組む方が早いかもしれません。

これは業種を問わず様々な企業で共通して起こり得る、そして実際に日々発生している問題だと思います。デザイナー本人がすべてを把握できるのであれば、個人(フリーランサー)としてこなしているでしょうし、そのほうが丸儲けでしょうね。一流企業からのオファーを受けている売れっ子がそんな規模で運営しているわけではないので、これを「手抜き」だと断じて非難するのは間違っていると思うのです。

例えば経理部員の不正が発覚したとして、それを社長の手抜きだとは思わないでしょ?もちろん、チェック体制が不十分だった責任は直属の上司からさかのぼって経営者にまで及びます。

今回起きている騒動については、会社のリスク管理という経営課題に集約されます。改善するならば、予防策として不定期的な抜き打ちチェックと、事後策として不正発覚時の損害賠償責任に関する事項を雇用契約に織り込むべきでしょう。

おそらくは、氷山の一角かという気がしてきました。

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投稿者プロフィール

今井 賢司
今井 賢司プロモーションオフィス リバーシ 代表
フォトグラファー(フォトマスターEX)・ビデオグラファー・終活カウンセラー1級

立教大学卒業後広告代理店・リゾート勤務を経て2008年独立
宣材写真・ビジネスプロフィール写真・婚活写真など日常的な人物写真のスタジオワークをメインに活躍中 ミスコン・ミセスジャパン、ダンス・音楽イベントなどの公式撮影、各種オーディションの撮影経験豊富

会社勤めの経験も豊富。就活のアドバイスやビジネス向けのパーソナルブランディング、映像・写真・WEBを活用した視覚的な広告・営業戦略が得意です。出張撮影、映像制作、ホームページ制作おまかせください

終活カウンセラーとして「終活サポート ワンモア」を主宰。異業種提携による終活のお手伝いの傍ら終活講座やカルチャー教室などミドル~シニア世代向けのイベントを企画開催しています

日光国際音楽祭® 公式カメラマン
ミセスジャパン2020栃木選考会公式フォトグラファーほか
終活サポート ワンモア主宰
終活カウンセラー1級
エンディングノートセミナー講師養成講座修了(終活カウンセラー協会®)

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