「終活」というパワーワード…ひとにはやすらかに眠る権利だってあるはずだ
「終活」って片付けじゃなく、意思表示ですよ
昨年の話ですが、プロ野球の名選手であり名監督であった野村克也さんが亡くなりました。個人的には、王・長嶋というスター選手への対抗心から這い上がり、超一流のプレーヤーとなった現役時代に加え、引退後は多くの一流の野球人を育て、弱小チームを立て直し何度も日本一に導いたその手腕にビジネスパーソンとして尊敬していました。
その野村さんの葬儀で残念なことがありました。野村さんのお身内の方が棺の中の故人の顔写真を撮影し、SNSにアップされたのです。その行為については賛否両論あってネット界隈ではちょっとした騒動になりました。
もちろん悪意があってのことではないでしょうし、故人を悼む気持ち、その表現の仕方も人によるとは思います。ただ、それでも、故人の気持ちを置き去りにしたまま答えのない議論がかわされていることにやるせない思いがしました。
フォトグラファーとしてあえて私見を述べるならば、”最期の姿”ではなく祭壇に飾られた”遺影写真”を見せていただきたかったです。きっと素敵な写真だったと思うから。そのための遺影写真ですからね。
お話変わって、その少し前の紅白歌合戦では「AI美空ひばり」が時を越えて歌い、その後AIによる故 手塚治虫さんの「新作」が制作・公開されました。
それらの是非をいちいち問いかけることはしませんが、ひとにはやすらかに眠る権利というものもあるんじゃないのかと、そんなことさえ思わずにはいられないこの頃です。
高齢化が進む中で老後の手続きが何かと複雑化していることからも「終活」が重要性を増しているのですが、終活って意思表示なんです。自分を大切に思うなら、終活はすぐにでも始めるべきだと思います。
わかったつもり…「終活」というパワーワードが独り歩きしている
本業と関連して『終活サポート ワンモア』という終活支援活動に携わっています。生前遺影をもっと普及させたい、普及させて「ちゃんとした遺影写真がない」といった悲劇を減らしたいと思ってこの活動を始めました。
終活も世の中にはずいぶん浸透してきました。「終活」という言葉が使われ始めてまだ10年ほどですが、「終活って聞いたことがないわ」という人のほうが少ないくらいです。
でも、終活の準備を始めている方はまだまだ少数派というのが現実です。生前遺影についても準備されているシニアは10%程度といわれています。遺言の普及率も同程度と言われています。遺言や相続などは昔から法律があるのに、やはり生前準備されている方は少ないというのが現状です。
終活支援活動を続けてきて最近痛切に思うのですが、「終活」という言葉のインパクトが強すぎて、みなさんわかったような気持ちになっているのではないか、そう思います。そこで思考停止してしまっている。考えることをやめてしまう。
終活というパワーワードがこの活動の啓蒙に大きく貢献してきたのは間違いのない事実ですが、一方で言葉が独り歩きしているように感じることもあるのです。
さらにいえば、「終活」という語感から、人生の最後にすればよい、まだ早いと考えがちです。また、そう思いたいんですね、だれでも。私もそうですよ。
ただ、終活のことはシニアになってから始めたのでは間に合わないということが非常に多いです。老後資金や再就職が心配なら現役のときから貯蓄や投資、勉強をするなど備えたほうが良いですし、遺影写真も元気なうちに撮影しておいたほうがよいでしょう。人によって重視するポイントが異なるので、終活のあり方もひとによってさまざまです。
いまこそ、終活=自分の意思、人生と向き合うとき
日本国内では2020年春に始まったコロナ禍。そのなかで家族や人生の終末と向き合う人が増えているのを確かに感じています。
現に、2020年初夏の初めての緊急事態宣言が明けた直後には生前遺影と婚活写真のご依頼が殺到しました。先祖代々の遺影写真の修復一式といったご依頼も増えています。
ここから一歩進めて、ご自身のためにこの先の人生を再設計してはいかがでしょう。いまなすべきこと、これから取り組みたいことをきちんと見える化し、実現していきませんか。そのために、エンディングノートをおすすめします。ステイホームは自分自身を見つめ直すよい機会でもあると思います。
この文章を書いているいまも緊急事態宣言下にあって、かつてのような終活関連のセミナーやレッスンの開催などは控えていますが、想いを伝えることはこんな風にいつでも、どこにいてもできます。
そして、コロナ禍対応の出口に照準を合わせ、いろいろ準備しています。終活カウンセラー協会の武藤頼胡会長は「花を活けるのも終活」と言っていて、私の最近好きなフレーズです。
「寺活」「薬膳」「山歩き」…また皆さんにいろいろな情報、体験をお届けしたいと思っています。彼岸を機に、人生を深く考えてみるのも悪くないと思います。
※エンディングノートや自分史、生前遺影についてはこちらの記事をご参照ください
<< 一生忘れられない「遺影」の話…ウィズコロナ時代の「生前遺影」を考える
投稿者プロフィール
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フォトグラファー(フォトマスターEX)・ビデオグラファー・終活カウンセラー1級
立教大学卒業後広告代理店・リゾート勤務を経て2008年独立
宣材写真・ビジネスプロフィール写真・婚活写真など日常的な人物写真のスタジオワークをメインに活躍中 ミスコン・ミセスジャパン、ダンス・音楽イベントなどの公式撮影、各種オーディションの撮影経験豊富
会社勤めの経験も豊富。就活のアドバイスやビジネス向けのパーソナルブランディング、映像・写真・WEBを活用した視覚的な広告・営業戦略が得意です。出張撮影、映像制作、ホームページ制作おまかせください
終活カウンセラーとして「終活サポート ワンモア」を主宰。異業種提携による終活のお手伝いの傍ら終活講座やカルチャー教室などミドル~シニア世代向けのイベントを企画開催しています
日光国際音楽祭® 公式カメラマン
ミセスジャパン2020栃木選考会公式フォトグラファーほか
終活サポート ワンモア主宰
終活カウンセラー1級
エンディングノートセミナー講師養成講座修了(終活カウンセラー協会®)